2025.07.27

 矯正治療における歯の移動は、個々の歯のさまざまな動きの集合体といえます。具体的には、歯の傾斜移動、歯体移動(平行移動)、回転移動、挺出移動、圧下移動、これらに歯根の動きのコントロール(トルクコントロール)が加味され、個々の歯の多様な動きと歯列全体の三次元的動きの複雑な組み合わせによって、治療目標に向けた歯・歯列の移動が進んでいきます。

 しっかりトレーニングを積んだ熟練した矯正歯科医であれば、上記の歯の移動に必要なワイヤー調整を厳密に行なうことによって、目的とする歯の動きを正確に生み出すことができます。また、好ましくない歯の移動を予測し、これを生じさせない緻密なワイヤー調整により治療を進めることは、良好な治療結果を達成するために極めて大切です。そして、このような精度の高い治療によって確立された良好な咬み合わせは、口腔機能と調和した健全な歯・歯周組織を維持していく上で非常に重要となります。

 一方、マウスピース矯正装置には、向き不向きの歯の移動様式が存在します。歯の移動の得手不得手があるのです。一般的に、回転移動、挺出移動、正確なトルクコントロールといった歯の移動様式については、十分な結果を出すことが難しいとされています。これらの歯の移動が必要な症例をマウスピース矯正で治療していく場合、必要に応じてワイヤーを装着し治療を行う必要が出てくるわけです。

 より良い咬合の確立と調和した口腔機能を獲得するために、ワイヤー矯正による精確な治療に大きなアドバンテージがあるといえるのです。

A 歯体移動(平行移動)  B 傾斜移動

回転移動

挺出移動・圧下移動・トルクコントロール

《明解》歯科矯正メカニクス − Common Sense Mechanics –
(東京臨床出版)より引用

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