2015.05.06

 

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 4月14日の下野新聞に、矯正歯科治療に関する気になる記事が掲載されていました・・・「治療内容、態勢チェックを — 矯正歯科医会が呼び掛け — 検査、説明にも問題」・・・現在矯正治療を受けている患者さんの半数以上に適切でない治療が行なわれているという・・・これって本当なのでしょうか。

 

 歯科医師であれば患者さんに矯正治療を提供でき、法律上は確かに問題ありません。ただ、矯正治療を行なえることと、適切な治療を患者さんに提供できることとは、決して同じことではないという難しさがあります。

 

 歯科矯正学は、専門化が進んでいる今日の歯科分野の中にあって、特に専門性の高い学問および臨床の一分野であるということは、多くの歯科医師が認めるところであります。それは、不正咬合の原因論、顎顔面骨格の成長発育に関する深い知識、セファロ分析に始まる不正咬合の分析・診断・治療計画の立案、多種多様な矯正装置の機能的な特徴およびその使い分け、さらにはワイヤーベンディング(ワイヤーの屈曲・調整)のテクニック等々、適切な矯正治療を進める上で習得しなければならない多くのハードルがあるからです。矯正治療の専門医として自信を持って治療に当たるために必要な上記の要件は、歯科大学卒業後、多くの場合大学の矯正科に入局し、少なくとも数年かけて修得していくものであり、それ以外の方法(例えば独学や短期間のセミナー参加等)で習得することは困難な内容なのです。

 

 私(現在、日本矯正歯科学会の認定医・指導医を取得しております)を含めた矯正治療の専門歯科医の多くは、長い期間かけて習得した自らの専門的知識・技術に自信と誇りを持っているものです。「矯正歯科」を標榜している歯科医院が非常に多くみられる今日、患者さんの側にあっても、真に専門的なトレーニングを受けた歯科医師とそうでない歯科医師とを、見分ける術を持っていただきたいと感じることが無いわけではありません。今回の下野新聞の記事は、矯正治療が巷に氾濫しすぎている今のご時世に警鐘を鳴らす、実にタイムリーなものであります。そして矯正治療を受けている、あるいはこれから受けようとしている患者さんの真にためになるものと考えております。

 

 現在他院にて矯正治療中の患者さんがセカンドオピニオンを求めて当院に来院されることは時々あります。その際、現在の治療を続けることで大きな問題に至ることがないと判断した際には、「今治療をしてくださっている先生は、あなたの噛み合わせ、歯並びのことを良く考えて治療してくださっていると思います。この治療もう少し進めてみてもよろしいのではないでしょうか」と伝えるようにしています。「良くない治療だから当院で治療した方が良い」などとは、明らかによほど問題がある治療ケースでなければお話しすることはいたしません。現在の担当歯科医師の矯正治療に対する考え方が伝わってくる口腔内の状態であれば、そのままの通院を勧めます。これもまた矯正治療の専門歯科医の務め(患者さんの不安を取り除き、安心して矯正治療に取り組んでいただく・・・そして矯正治療の素晴らしさを実感していただくこと)だと考えるからです。

 

 矯正治療の専門歯科医というものは、何もお高くとまっている存在では決してありません。患者さんにとっても、さらにはその道の専門でない歯科医師にとっても、何でも相談していただける身近な存在であるべきものであり、それが延いてはきれいな歯並び、正しい噛み合わせの素晴らしさを理解していただき、矯正治療の啓蒙・普及に役立ってくれる・・・それが何よりの喜びなのです。

 

院長 檜山成寿

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