10月20日（月）から22日（水）の3日間、幕張メッセで開催された第73回日本矯正歯科学会大会に参加してきました。今大会は5回目となる日韓ジョイントミーティングの併催ということもあり、いつにも増して参加者の多い大会となりました。日韓ジョイントミーティングは、日本と韓国の矯正治療の専門歯科医が学術的交流を深めることを目的として、2年に一度、日本と韓国で交互に開催されるものです。
様々なテーマでの講演会の中で私の印象に残ったのは、2年前に我が国の薬事承認を受けて正式に臨床応用可能となった矯正用インプラントアンカースクリューを用いた矯正治療に関するものでした。例えばインプラントアンカースクリューを歯の移動の固定源とすることで上下顎大臼歯の圧下移動を行ない、骨格性の開咬を改善する・・・そして副次的な効果として下顎骨のauto-rotationが生じることでオトガイの後退感が改善し、側貌の改善も得られるというものです。骨格性開咬の矯正治療は、一般に治療の難易度が高く、咬合の改善に加え顔貌の改善を得るためには、しばしば外科的矯正治療（手術による骨切り）が必要となります。矯正用アンカースクリューを利用することで、従来の矯正装置では難しかった大臼歯の積極的な圧下移動を行なうことができれば、外科的矯正治療を行なった場合と同等の治療効果が非外科的に得られる可能性があります。新しいデバイスが登場し、従来は困難であった歯の移動が比較的自由に行なえるようになることで、これまでの難症例が比較的容易に治療できる新たなアプローチが見えてくる・・・素晴らしいことだと思います。
なお、学会のポスター発表セッションでは、本年3月まで当院で臨床研修医として勤務していた新島先生（現在は新潟大学歯学部矯正科の大学院生）が堂々と研究発表をされていました。記念にポスターの前でお写真をご一緒させていただきました。益々のご活躍を期待しております。
檜山成寿
