2007.11.16

昨日、東京千駄ヶ谷の津田ホールで開催された東京矯正歯科学会秋季セミナーは、「保定後の変化から学ぶこと」というタイトルのもと、3名のスピーカーによる講演とディスカッションが行なわれ、なかなか聴き応えのあるセミナーでした。

 一般の方々にとりましては、矯正治療というと、積極的に歯を動かして問題のある歯並びや咬み合わせを改善するという、いわゆる「動的矯正治療」につい目がいきがちでしょうが、私が考えますに、多くの矯正治療の専門歯科医は、矯正治療の結果きれいになった歯並び、咬み合わせを長期的に維持、安定させることの方がはるかに難しいと感じているようです。

 歯を動かした後、その新しい歯並び、咬み合わせの状態でしばらく歯を固定しておく、これを専門的には「保定」と言いますが、この保定期間こそが、その後歯並びが安定するかどうかを決める一つの重要な治療ステップとなります。しかしながら、どれくらい保定をしておけば歯並びは安定するのかについての明確なガイドラインは無いのが現状であります。したがって、われわれ矯正家は、自分自身の経験と、保定期間を通じての患者様の歯並び、咬み合わせの経過観察から、保定終了の時期を見極めているのが実際のところです。

 「保定は一生続けるべき」と主張した著名な矯正家も過去にはおられましたが、現実的にはこれも困難であることが多く、悩まされます。昨日のセミナーのスピーカーの1人は、保定も3年経過すると、その歯並び、咬み合わせは比較的安定するようだと話されておりましたが、私自身もこれは妥当な線ではなかろうかと思っております。また、別のスピーカーからは、親知らずと歯列不正の再発との因果関係は明確ではないとの主張も聞かれましたが、私自身もこの意見には賛成であります。よく、「親知らずが前の歯を押して歯並びが悪くなる。だから親知らずは抜いておいた方がよい」といった話を耳にすることがありますが、私自身、このような考えには懐疑的であります。

 これからは、矯正治療をすれば、歯並び、咬み合わせがきれいに治るのは当たり前の時代になることでしょう。今後の課題は、その治った歯並び、咬み合わせをいかに維持、安定させるかではなかろうかと感じております。

桧山歯科クリニック 副院長 檜山成寿

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