HIYAMA MAGAZINE

2009.08.10 第13号

咀嚼と生活習慣病を考える

「なぜ虫歯、歯周病を治療しなければならないのか」
「なぜ歯が抜けたままではいけないのか」
「口腔の健康はなぜ大切なのか」・・・

これらの疑問に対して「虫歯になると歯が痛むから」「歯周病になって歯が抜けてしまうから」「歯が抜けたままだと食事が不便だから」という答えは、確かに間違いではないが十分な回答とはいえまい。 口腔内の問題をただ単に口の中だけの事柄として捉えるのは、すでに過去の話である。

ここに興味深い論文がある。 日本歯科医師会雑誌2009年6月号に掲載された橋本和佳先生(愛知学院大学歯学部准教授)の 論文「咀嚼と生活習慣病-全身の健康への歯科医師の役割-」がそれである。 橋本准教授は、自身のこれまでの研究の成果に基づき、 咀嚼が全身に及ぼす影響、特に糖尿病との関連の深いインスリン分泌への影響を明らかにしてきた。 その概要を以下に紹介する。

(1)咬合状態と摂食時インスリン分泌との関係を調べたヒトにおける実験では、 むし歯や咬合異常といった口腔内の問題を有する者では健常者に比べてインスリン抵抗性が高い、すなわち糖代謝能が低下していることが示された。

(2)食物の性状(固形食物か粉末食物か)の違いが糖代謝に与える影響を検討したラットの実験では、よく噛む・噛まないといった日々の咀嚼習慣の違いは、 若年期においては糖代謝の差としては現れないが、 中年期から老年期においてはその差が顕在化し、やわらかい食事を続けた場合、総血糖量で評価した糖代謝能が低下することが示された。

(3)歯の欠損と耐糖能との関係を明らかにするために、若年期に奥歯を抜いた後、 老年期まで飼育したラット群と、歯を抜かずに同一条件で飼育したラット群を比較した。 経口糖負荷試験の結果、抜歯したラット群では、糖負荷後、血糖値が経時的に高い値で推移することが示された。 歯の有無のみで糖に対する感受性に差があることは興味深い。

(4)しっかり噛んで食事をすることが、糖代謝にどのように影響するのだろうか。 これを明らかにするために行ったヒトにおける実験では、糖負荷試験の結果、 よく咀嚼した場合には血糖値の上昇は有意に小さく、さらにその後血糖値は速やかに低下した。 また、この結果を裏付けるように、血中インスリン値の上昇も大きく、その後は速やかに低下することが示された。 よく咀嚼した場合に血中インスリン値が増加後速やかに低下したことは大変意味深い。 これは、インスリンの過剰分泌が血中脂肪の脂肪組織への沈着促進、肝・脂肪組織での脂肪合成の亢進をきたし、 肥満を引き起こす原因となるからである。 さらに、インスリンには摂食中枢を刺激して食欲を亢進させるはたらきもあることから、食後の長時間にわたるインスリンの分泌は過食にもつながると考えられるからである。

橋本准教授は、咀嚼あるいは歯の有無といった口腔内諸条件の違いによる全身への影響を、 インスリン分泌能や耐糖能に着眼して研究を進めてきた。その一方で、口腔内の疾患、 たとえば生活習慣病のひとつである歯周病と関連する全身疾患には、糖尿病の他に心筋梗塞、脳血管障害、早産等々、多岐にわたることが明らかになっている。むし歯や歯周病を治療し、 歯の欠損を補い、健全な口腔機能を確立しこれを維持・管理していくことで、全身の健康、特に肥満、糖尿病、メタボリックシンドローム等の生活習慣病の予防や治療にきわめて重要な役割を担うことができるという、 自覚と誇りをもってこれからの歯科医療に取り組んでいきたいと思う。

(檜山)

スタッフ紹介

受付の私は、よく患者様から『いつも清潔で気持ちがいいわ』と、お褒めの言葉をいただきます。 とてもうれしいです。しかしそれは清掃スタッフお二人の、毎日のお掃除の成果です。

今回は当医院の整理・整頓をしてくれているスタッフを紹介させていただきます。小森紀子さんと大類リエ子さんです。お二人は毎日診療室、待合室、玄関周りなど医院全体を清掃しています。ちょっぴり汗かきなお二人には、夏はとても暑くて大変ですが、いつもと変わらず医院をきれいにと、キビキビと働いています。いつも笑顔で優しく親切な方達です。お二人が、医院の縁の下の力持ちとして頑張ってくれているおかげで、私たちスタッフは診療に専念でき、毎日気持ちよく患者様をお迎えすることができています。

(小川)

口臭検査レポート

『ひやま通信』第9号にて口臭測定器[ブレストロン]を紹介して1年が過ぎました。これまでの口臭測定の結果について、その概要を報告させていただきます。
この器械は呼気中のイオウ化合物の濃度を測定し、口臭の程度を以下の4段階で判定します。

・ノーマル(NORMAL):口臭を認めない
・マイルド(MILD):口臭があるかないかの境目
・モデレート(MODERATE):わずかに口臭を認める
・シビア(SEVERE):明らかな口臭を認める

今回316名の測定値を集計した結果、以下のことが明らかになりました。
(1) 約7割の方は口臭なしと判定され、一方、何らかの程度の口臭を認めた方は約3割であった。
(2) 各年代別にみても同様に約7割の方はノーマルと判定され、年齢による差は認められなかった。
(3) 明らかな性差は認められなかった。

国民の90%が自分の口臭に対して不安を感じていて、口臭のエチケットにとても関心が高い時代です。口臭は自分自身では判断しづらいものです。お口の匂いが気になる方は[ブレストロン]で口臭測定をし、数値化するのも良いかもしれません。今後はさらに歯周病等との関連を含めて検討を進める予定です。

(早乙女)

アットホームな洋食屋さんの 私のおすすめランチ

私のおすすめのお店は、戸祭台の仏舎利塔の前にある『カフェテラス ライオン』です。
落ち着いた雰囲気のレストランで、日替わりランチは人気メニューがずらり! みなさんもオムライスは作ったことがあると思いますが、ふんわりした卵に仕上げるのは、なかなか難しいことです。

『ライオン』の名物オムライスの、卵のほどよいトロトロ感はやみつきになります。 デミグラスソースと卵、具材の組み合わせも絶妙で最高の味わいです。そして、オムライスだけではなく、パスタもおすすめメニューです。カルボナーラも、トロトロ卵が上にのっていて、とてもおいしいですョ!

深い味わいが楽しめますので、是非『カフェテラス ライオン』に一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

(井上)

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